わたしのなかの「モンスター(その子)」、モンスターに変異する少年。
この出会いがわたしを変える!
突然変異腫瘍症候群(ミュータント・キャンサラス・シンドローム:MCS)――。
五~七歳のあいだに発症し、発作のあと“変異”が起こる病気。全身に毛が生え、体が大きくなり、力が数倍にも強くなることから、「モンスター・チャイルド・シンドローム(MCS)」とも呼ばれている。
小学6年生のハニと、2年生の弟・サンドゥルはMCSだ。ふたりは薬で発作をおさえ、周囲に病気のことを知られそうになるたび、引っ越しと転校を繰り返してきた。今回移り住んだのは、空気のきれいな田舎町。転校初日、ハニは同じくMCSの少年・ヨヌと出会う。ヨヌは病気を隠そうとせず、人前で変異を起こすヨヌに、ハニは戸惑いを覚える。
そして、ふたりは母親とともに、MCSの研究者として知られる名医が、町にひそかに開いたという病院を訪ねる。しかしその医師は、「MCSは病気ではない」と話す。ここは病院ではなく、「MCS自立トレーニングセンター」。変異遺伝子の所有者たちが自立できるように支えるための場所、そしてなにより大切なのは、「子どもたちが自分自身を愛せるようになること」だと。
これまでの医学的な常識をくつがえすような言葉に、ハニの母は反発するが、ハニの心は揺れていた。――「わたしは、わたしがにくい。わたしのなかには怪物がいるから。だから怪物があらわれないように、ぎゅうっとおしこめている」
MCSは本当に病気なのか? ヨヌはなぜ変異を隠さないのか?
ハニとヨヌの距離が少しずつ縮まり、謎があきらかになっていくなか、村の農場が何者かに襲われ、再びMCSの子どもたちに疑いの目が向けられる――。
「子どもが子どもに、子どもが大人にすすめる本」として、韓国で10万部を突破!!
イ・ジェムン 作
/ 山岸由佳 訳
/ スカイエマ 絵
- カテゴリ
- YA読み物
- シリーズ名
- ISBN
- 9784566014725
- 税込定価
- 1,650 円
- 発売日
- 2025年08月
ご購入は、全国の書店、またはネット書店よりご購入ください。
※書店によっては、在庫の無い場合や取扱いの無い場合がございます。あらかじめご了承ください。
著者プロフィール
イ・ジェムン
1985年、釜山市生まれ。2017年に『어린이 시장 돌프(子ども市長ドルフ)』で第2回教保文庫童話公募展大賞、2020年に『식스팩(シックスパック)』で第9回子音と母音青少年文学賞大賞、2021年に本書『モンスター・チャイルド』で第1回四季節子ども文学賞大賞を受賞。2024年、本作が韓国で発行部数10万部を突破。小学校教師として教壇に立つかたわら、ベストセラー作家として自身の創作活動を両立させ、長編ファンタジー作品や短編集への参加などで、数多くの童話と青少年のための小説を発表し続けている。
山岸由佳
北海道出身。東京外国語大学卒業。テレビ番組制作会社勤務を経て、2001年に渡韓。現地にてディレクターとして韓国映画ドラマ情報番組を手がけた。2008年より韓日翻訳者として活動。訳書に『普通のノウル』『妖怪島のレストラン1 迷いこんだ少女』(評論社)。字幕翻訳作品にドラマ『イカゲーム2』や映画『ワンダーランド:あなたに逢いたくて』などがある。
スカイエマ
東京都生まれ。千葉大学看護学部卒。児童書・一般書の装画や挿絵や、新聞、雑誌の挿絵などを手がける。おもな作品に、『優しいおとな』(中央公論新社)、『ぼくとあいつのラストラン』(ポプラ社)、『林業少年』(新日本出版社)、『アサギをよぶ声』(偕成社)、『この夏の星を見る』(KADOKAWA)などがある。第46回講談社出版文化賞さしえ賞受賞。
担当編集者より
MCSを隠し「モンスター」をおしこめて生きてきた主人公は、同じ病にも関わらず、変異を隠さず生きる少年と出会い、大きく変わっていきます。本国での刊行はコロナ禍。解明されていないものへの恐怖とどう向き合うかが問われた時期でもありました。SF映画を思わせる、架空の病「MCS」という設定とスピーディーな展開で読者を惹きつけながら、社会や個人の内面にかかわるさまざまな問題を鋭く投げかけてくれます。