少年・ネイトの詩で語られる小学生最後の1年間。
少年が自分の言葉を、居場所を、仲間を見つける力強い物語。
イギリスのさびれた町で暮らす少年・ネイト。本が大好きで、デイヴィッド・アーモンドに心酔している。かあちゃんと、父の違う弟ふたりのとの4人暮らし。とうちゃんはいない。弟のとうちゃんもいない。この9月に小学校6年生になった。5年生のときから、「6年生は中学に進学するまえの大事な1年だ」と先生から耳にタコができるほど言われてきた。みんながピリピリする、全国共通テストもある。そんな大事な「ラストイヤー」に、初めて親友のPSと別のクラスになってしまう。さらにPSはいじめっ子のターナーと急接近し、ネイトと距離をおくように。世界がひっくりかえったような衝撃。心の奥にいる「モンスター」が暴れ出しそうなのを、「すって はいて」の深呼吸で、なんとか「セイギョ」する。
担任は、ミュージシャンの夢をあきらめ、先生になった新任のジョシュア先生。ネイトの書く詩に惹きつけられ、「ひらめきノート」を手渡す。 「きみのなかに言葉がたまっている ネイトペンを手にとって そっくり外に出してごらん」。そして、授業でデイヴィッド・アーモンドの『肩胛骨は翼のなごり』を取り上げ、「考えること、言葉や絵で物語ること」が世界と向き合うすべになると伝え続ける。
「ひらめきノート」に思いをかきつけ、だんだんと気持ちを言葉にすることができるようになっていくネイト。そして、頭のなかのすべてを絵にする少年・ケイレブと友情を育み始めた矢先、末の弟が倒れ、緊急入院することに――。
マット・グッドフェロウ 作
/ ジョー・トッド=スタントン 絵
/ 小林玲子 訳
- カテゴリ
- YA読み物
- シリーズ名
- ISBN
- 9784566014732
- 税込定価
- 1,760 円
- 発売日
- 2025年07月
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著者プロフィール
マット・グッドフェロウ
イギリスの詩人、児童文学作家。イギリス北西部の街、ストックポート在住。元小学校教員。初の詩集 Chicken on the Roofが高く評価され、現在は受賞歴多数の詩人としてイギリス各地の学校を訪問し、エネルギッシュなパフォーマンスやワークショップで好評を博している。本書『おれたちのラストイヤー』The Final Yearが2024年カーネギー賞最終候補に。また、CLiPPAポエトリー賞などさまざまな児童文学賞を受賞。そのほかの著書にCaterpillar Cake(CLiPPA賞最終候補作)、Shu-Lin's Grandpa(ケイト・グリーナウェイ賞最終候補作)、Let's Chase Stars Together(CLiPPA賞最終候補作)などがある。
ジョー・トッド=スタントン
イギリスのイラストレーター、児童文学作家。イギリス南東部の街ブライトン出身。ロンドン在住。西イングランド大学ブリストル校で、イラストレーションを学ぶ。絵本やグラフィックノベルの著者および挿絵画家として幅広く活躍。『エリンと まっくろ岩の ひみつ』(評論社)で、2018年のケイト・グリーナウェイ賞にノミネート、同年のウォーターストーンズ児童書賞(絵本部門)を受賞。『ほうきぼしの まほう』(評論社)は2023年カーネギー賞画家部門においてシャドワーズ・チョイス賞(子どもたちの投票で選ばれる賞)を受賞。ほかに日本で紹介されている絵本に『いっぴきぐらしの ジュリアン』(岩崎書店)、「ブラウンストーンいちぞくのぼうけん」シリーズ(すばる舎)がある。
小林玲子
国際基督教大学教養学部卒業。早稲田大学院英文学修士。訳書に『昆虫の惑星』(辰巳出版)、『世界一おもしろい国旗の本』(河出書房新社)、『子どもには聞かせられない動物のひみつ』(青土社)、『ビッチな動物たち』(柏書房)などがある。
担当編集者より
友だちとの関係でつまずいてしまうことは、きっと誰にでもあるもの。もやもやした気持ちを抱えるネイトに、「言葉にしてごらん」と声をかけ、どんなときもそばにいるよと伝え続けるジョシュア先生。うまくいかないことがあっても、すべてをあきらめるのではなく、「自分の旅を続けていくことはできる」。かつてミュージシャンを目指していたけれど、その夢を手放して先生になったジョシュア先生の言葉が、静かに、でもしっかりと胸に響きます。先生に支えられながら、暗闇の中で少しずつ自分の声を見つけていくネイトの姿は、きっと読者のみなさんの深い励ましになります。