父から海に近づくことを禁止されていたフィンが、ある日海に落ちてしまった。溺れる!と覚悟したが、逆に海の中で自由に泳ぎまわれることがわかる。実はフィンは、詩にもうたわれたイルカ族の乙女の血を引く子どもだったのだ。人間が飛ばした風船がイルカたちに被害を与えていると知ったフィンは、なんとか助けたいと願う。だが、ひとりでは無理だ。今まで仲間はずれにされていたフィンが、勇気をふりしぼってクラスメートたちに訴える。子どもたちの姿が、やがて大人にも影響をおよぼして……。紛争地の子どもたちを描き続けてきた作家エリザベス・レアードが、伝説をまじえながら海洋汚染をとりあげた力作。