グリマー・クリークの町では、毎年必ず住民の誰かに「奇跡」が起きる。映画監督を夢見るロージーは、その「奇跡」をドキュメンタリー映画にして、町のフェスティバルで上映することを思いつく。その裏には、生まれてから一度も会ったことのない父親(俳優)をフェスティバルに招待したいという切ない願いがあった。親友たちの協力を得て制作を始めるが、撮影はトラブル続き、親友とはケンカ別れ、頼みの母には新しい恋人ができそう、父親からはメールの返事が来ない……と八方ふさがりだ。大切な人に危険が迫って初めて「奇跡」の本当の意味に気づくロージー。12歳の少女の揺れる心が繊細に描かれる物語。巻末に、物語に出てくるお菓子のレシピつき。